专利摘要:
患者の解剖学的構造を識別するシステムおよび方法。この方法は、患者の画像であって、画像エレメントの組を含む画像を取得する動作と、画像をセグメント化して、各画像エレメントを画像エレメントの内容に従って分類する動作と、各画像エレメントの分類が正しいものである確率を計算する動作と、高い確率を有する画像エレメントから画像を再セグメント化し、より低い確率を有する画像エレメントへと再セグメント化を進行する動作と、画像エレメントの少なくとも1つを解剖学的アトラスと位置合わせする動作と、解剖学的アトラスをセグメント化された画像にフィットさせる動作とを含む。
公开号:JP2011512999A
申请号:JP2010549858
申请日:2009-03-04
公开日:2011-04-28
发明作者:ゲリング,ディヴィッド・ティー;ルチャラ,ケネス・ジェイ
申请人:トモセラピー・インコーポレーテッド;
IPC主号:A61N5-10
专利说明:

[0001] 改良された画像セグメンテーションの方法およびシステム。
[0001]本願は、2008年3月4日に出願された、「Methodsfor improved image segmentation(改良された画像セグメンテーションの方法)」という名称の米国仮特許出願第61/033574号の優先権を主張する。同出願の全内容は参照により本明細書に援用される。]
背景技術

[0002] [0002]過去数十年にわたり、コンピュータおよびネットワーキング、放射線療法治療計画用のソフトウェア、医療用イメージングのモダリティ(CT、MRI、US、PET)の向上が、放射線治療の実践に取り込まれている。これらの向上の結果、画像誘導型放射線治療(「IGRT(image guided radiation therapy)」)の開発に至った。IGRTは、患者体内の解剖学的構造の断面画像を使用して腫瘍への放射線量をより適切に絞り込み、一方で、正常な臓器への放射線暴露を減らす放射線治療である。腫瘍に送達される放射線量は強度調節型放射線治療(「IMRT(intensity modulated radiation therapy)」)で調節され、IMRTは、患者の腫瘍の大きさ、形状、および位置に合わせて放射線ビームの大きさ、形状、および強度を変えることを伴う。IGRTとIMRTにより腫瘍のコントロールが向上し、同時に、腫瘍周囲の正常組織への照射による急性の副作用の可能性が低下した。]
[0003] [0003]画像誘導型放射線療法の実施における重要な要素は、放射線療法の計画と実施に用いられる画像の品質と、特に、画像中の構造が識別される精度とである。CT画像の場合、患者の画像を構成するデータは画像エレメントからなり、画像エレメントは、システムにデータとして記憶された画像エレメントに相当する。これらの画像エレメントは、2次元のピクセルや3次元の画像エレメントなどのような、画像データを表すために使用される任意のデータ構造体である。患者の画像を正確に構築するために、画像エレメントは、セグメンテーション(セグメント化)と呼ばれる処理にかけられる。セグメンテーションでは、各画像エレメントを、人体の4つの異なる物質の1つとして分類する。4つの物質とは、空気、脂肪、筋肉、骨である。]
[0004] [0004]一実施形態では、本発明は、患者体内の解剖学的構造を識別する方法を提供する。この方法は、患者の画像を取得するステップを備え、画像は、画像エレメントの組からなる。この方法は、画像をセグメント化して、少なくとも一部の画像エレメントを、それら画像エレメントの内容に従って分類するステップと、セグメント化された画像を確率的(蓋然論的)アトラスと位置合わせするステップと、画像エレメントの分類が正しい確率を計算するステップと、各画像エレメントの確率に基づいて画像エレメントを強調する画像を再セグメント化するステップとを更に含む。]
[0005] [0005]別の実施形態では、本発明は、放射線療法システム、およびその放射線療法システムを使用して患者の解剖学的構造を自動的に識別する方法を提供する。この方法は、患者の画像を取得するステップと、階層的な一連の画像処理段階を使用して画像をセグメント化して画像中のランドマークを識別するステップと、ランドマークを使用して解剖学的構造を識別するステップとを含む。]
[0006] [0006]更に別の実施形態では、本発明は、患者の画像をセグメント化して、画像中の各画像エレメントの組織クラスを識別する方法を提供する。この方法は、規則の組を使用して各画像エレメントを分析して、各画像エレメントが所与の組織クラスである確率を求めるステップと、画像に解剖学的アトラスを位置合わせするステップと、各画像エレメントの組織確率を更に正確にするステップと、確率に基づいて画像エレメントにメッシュをフィットさせるステップとを備え、メッシュは、臓器の構造モデルを表し、臓器の予想される形状を確立する。]
[0007] [0007]本発明の他の態様は、詳細な説明および添付図面の検討により明らかになろう。]
[0008] [0008]本特許または出願のファイルは、カラーで実施される図面を少なくとも1枚含む。カラー図面を含む本特許または特許出願の公報の複写は、要求に応じて、および必要手数料の支払いにより、特許庁から提供される。]
図面の簡単な説明

[0009] [0009]図1は、放射線療法治療システムの透視図である。
[0010]図2は、図1に示される放射線療法治療システムで使用されることができるマルチリーフ・コリメータの透視図である。
[0011]図3は、図1の放射線療法治療システムの概略図である。
[0012]図4は、放射線療法治療システムで使用されるソフトウェア・プログラムの模式図である。
[0013]図5は、本発明を実施するセグメンテーション処理の階層ステップの模式図である。
[0014]図6は、2値マスクによる閾値を適用した後の画像と(左)、次いでその画像に形態学的操作を行った(右)画像との対を示す。
[0015]図7は、4つの島を有する2値マスク(左)に連結成分分析を行った結果(右)を示す。
[0016]図8は、前立腺のデータのセットのそれぞれの組織クラスに関連するガウス分布のグラフである。
[0017]図9は、推定最大化計算を行って、計算された確率に基づいてモデル・パラメータを反復的に更新し、更新されたモデル・パラメータに基づいて確率を再計算する処理を示す図である。
[0018]図10は、平均画像(左上)、空気の確率(上中央)、脂肪の確率(右上)、筋肉の確率(左下)、および骨の確率(右下)を含む、空間的に変動する事前確率の組である。
[0019]図11は、下〜上の方向(左)および後〜前の方向(右)における骨のセグメンテーションのプロファイルのグラフである。
[0020]図12は、空間的変動事前確率を適用しない場合のセグメンテーション階層の画像エレメント層後の画像(左)、空間的変動事前確率の適用を含めた場合の画像(中央)、およびセグメンテーション階層の近傍層のマルコフ確率場を適用した後の画像(右)を示す。
[0021]図13は、画像エレメントの距離変換の関数として画像エレメントの強度を示すグレースケール画像である。
[0022]図14は、セグメンテーション階層の近傍層のマルコフ確率場を適用した後の画像(左)、およびセグメンテーション階層の組織層が完了した後の画像(右)を示す。
[0023]図15は、連結成分分析前の筋組織の画像(左)、および連結成分分析後の画像(右)を示し、それぞれの連結成分は一意に色づけされている。
[0024]図16は、セグメンテーション階層の組織層が完了した後の画像(左)、およびセグメンテーション階層の臓器層が完了した後の画像(右)を示す。
[0025]図17は、ランドマークを使用してターゲット構造を構築する処理を、各スライスの信頼度スコアを示すスコアのグラフと共に示す。
[0026]図18は、外閉鎖筋を境界とする一般的な関心領域(「ROI」)を示す画像の対である。
[0027]図19は、外閉鎖筋を囲む脂肪の領域にフィットしたROIの境界となる線を示す画像の組である。
[0028]図20は、精緻化されたROIを示す画像の組である。
[0029]図21は、構造へフィットさせた形状および線を使用して外閉鎖筋を識別するステップを示す画像の組である。
[0030]図22は、幾何形状モデルと最終的なセグメンテーションとの間の関係を示す画像の組である。上の枠は、セグメンテーションの大まかな図案に楕円をフィットさせた結果を示し、下の枠は、セグメンテーションの境界を精緻化することにより、案と形状モデルを調和させた結果を示す。
[0031]図23は、直交するスライス面に示されたセグメンテーション階層の最終結果を示す一連の画像であり、セグメンテーションの結果から再構築された3次元画像(右上)を共に示す。
[0032]図24〜26は、骨の認識処理におけるスライスからスライスへのの骨オブジェクトの追跡を示す。
[0032]図24〜26は、骨の認識処理におけるスライスからスライスへの骨オブジェクトの追跡を示す。
[0032]図24〜26は、骨の認識処理におけるスライスからスライスへの骨オブジェクトの追跡を示す。
[0033]図27〜29は、骨の構造を認識する処理におけるステップを示す。
[0033]図27〜29は、骨の構造を認識する処理におけるステップを示す。
[0033]図27〜29は、骨の構造を認識する処理におけるステップを示す。
[0034]図30は、3次元構造を定義するための3次元の表面構造を示す。
[0034]図31は、3次元構造を定義するための仮想の三角形メッシュを示す。
[0035]図32〜37は、階層の臓器層における各種ステップの結果を概略的に示す。
[0035]図32〜37は、階層の臓器層における各種ステップの結果を概略的に示す。
[0035]図32〜37は、階層の臓器層における各種ステップの結果を概略的に示す。
[0035]図32〜37は、階層の臓器層における各種ステップの結果を概略的に示す。
[0035]図32〜37は、階層の臓器層における各種ステップの結果を概略的に示す。
[0035]図32〜37は、階層の臓器層における各種ステップの結果を概略的に示す。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図15 図16 図17 図18
実施例

[0010] [0036]本発明の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、その適用において、以下の説明で述べられる、または以下の図面に示される構成要素の構造および構成の詳細に制限されないことを理解されたい。本発明には、他の実施形態が可能であり、各種方式で実施されることが可能である。また、本明細書で使用される語句表現および用語は、説明のためであり、制限的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「〜を含む、備える(including)」、「〜を備える、含む(comprising)」、または「〜を有する(having)」、およびその変化形は、以下に挙げる事項とその均等物、ならびに追加的な事項を包含するものとする。特に指定または制限がない限り、用語「装着された」、「接続された」、「支持された」、「結合された」およびそれらの変化形は、広義に使用され、直接および間接両方の装着、接続、支持、および結合を包含する。更に、「接続された」および「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に制約されない。]
[0011] [0037]本明細書では図面を説明する際に、上部、下部、下方、上方、後方、下部、正面、後部等の方向の言及が行われる場合があるが、これらの言及は、便宜上、(通常の形で見た)図面に対して行われる。これらの方向は、字義通りに解釈されるべきものでも、また本発明をいかなる形でも制限するものでもない。また、本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明の目的で使用され、相対的な重要性または重要度を意味または示唆するものではない。]
[0012] [0038]また、本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェアの両方、および、説明の目的でその大半がハードウェアとしてのみ実施されるかのように図示および説明される場合がある電子コンポーネントまたはモジュールを含むことを理解されたい。しかし、当業者は、この詳細な説明を読むことに基づき、少なくとも1つの実施形態では、本発明の電子ベースの態様は、ソフトウェアとして実施されてもよいことを認識されよう。したがって、ハードウェアおよびソフトウェアを用いた複数の装置、ならびに複数の種々の構造コンポーネントを用いて本発明を実施してよいことに留意されたい。更に、以下の段落で説明するように、図面に示される特定の機械的構成は、本発明の実施形態を例示するものであり、他の代替の機械構成が可能である。]
[0013] [0039]図1は、患者14に放射線療法を提供することが可能な放射線療法治療システム10を示す。放射線療法治療は、光子を用いた放射線療法、近接照射療法、電子ビーム療法、陽子、ニューロン、または粒子療法、または他の種の療法治療を含むことができる。放射線療法治療システム10は、ガントリ(gantry)18を備える。ガントリ18は、放射線モジュール22を支持することができ、放射線モジュール22は、放射線源24と、放射線のビーム30を生成するように動作可能な線形加速器26とを備えることができる。図に示すガントリ18は、環状のガントリ、即ち、全360度の弧にわたって延在して完全な輪または円を形成しているものであるが、他の種類の取り付け機構が用いられてもよい。例えば、C字型、一部環状のガントリ等の非環状のガントリ、あるいはロボット・アームが使用されてもよい。放射線モジュール22を患者14に対して様々な回転位置および/または軸位置に配置することが可能な他の機構も使用されてよい。また、放射線源24は、ガントリ18の形状に従わない経路で移動することができる。例えば、図のガントリ18は概して円形であるものの、放射線源24は、非円形の経路で移動することができる。] 図1
[0014] [0040]放射線モジュール22は、放射線ビーム30を変更または調節するように動作することが可能な調節装置34も備えることができる。調節装置34は、放射線ビーム30の調節を提供し、放射線ビーム30を患者14へ向けて誘導する。具体的には、放射線ビーム34は、患者の一つの部位へ向けられる。大まかに言うと、この部位は全身を含んでもよいが、一般には全身より小さく、2次元の面積および/または3次元の体積により定義されることができる。放射線を受けることが望ましい部位(ターゲット38またはターゲット領域と称される場合もある)は、関心領域の一例である。別の種類の関心領域は、リスク領域である。部位がリスク領域を含む場合は、放射線ビームは、リスク領域から回避されることが好ましい。患者14は、放射線療法を受ける必要があるターゲット領域を1つより多く有する場合もある。このような調節は、強度調節型放射線療法(「IMRT」)と呼ばれることもある。]
[0015] [0041]図2に示すように、調節装置34はコリメーション装置42を含むことができる。コリメーション装置42は、放射線ビーム30が通ることができる開口部50の大きさを設定および調節する1組のジョー(jaw、顎部)46を含む。ジョー46は、上部ジョー54と下部ジョー58とを含む。上部ジョー54と下部ジョー58とは、開口部50の大きさを調節するために可動となっている。] 図2
[0016] [0042]一実施形態では、図2に示すように、調節装置34は、マルチリーフ・コリメータ62を含むことができる。コリメータ62は、或る位置から別の位置へと移動するように動作可能な複数の組み合わせられたリーフ66を備えることにより、強度調節を提供する。また、リーフ66は、最小に開いた位置と最大に開いた位置との間の任意の位置に移動できることにも留意されたい。複数の組み合わせリーフ66は、放射線ビーム30が患者14のターゲット38に達する前に、放射線ビーム30の強さ、大きさ、および形状を調節する。各リーフ66は、モータや空気弁等のアクチュエータ70により独立して制御され、リーフ66は、迅速に開閉して放射線の通過を許可または阻止することができる。アクチュエータ70は、コンピュータ74および/またはコントローラにより制御されることができる。] 図2
[0017] [0043]放射線療法治療システム10は、放射線ビーム30を受け取るように動作することが可能な検出器78、例えば、キロボルト検出器またはメガボルト検出器も備えることができる。線形加速器26および検出器78は、患者14のコンピュータ・トモグラフィ(CT)画像を生成するCTシステムとしても動作することができる。線形加速器26は、患者14内のターゲット38に向けて放射線ビーム30を発する。ターゲット38は、放射線の一部を吸収する。検出器78は、ターゲット38により吸収された放射線量を検出または測定する。検出器78は、線形加速器26が患者14の周囲を回転し、患者14に向けて放射線を発するのと同時に、様々な角度から吸収データを収集する。収集された吸収データは、吸収データの処理と、患者の体組織および臓器の画像の生成とのために、コンピュータ74へ送られる。画像は、骨、軟組織、および血管を示すこともできる。]
[0018] [0044]CT画像は、扇形状、多スライス形状、または円錐ビーム形状を有する放射線ビーム30で取得されることができる。また、CT画像は、メガボルト・エネルギーまたはキロボルト・エネルギーを送出する線形加速器26を用いて得ることができる。取得されたCT画像は、以前に取得されたCT画像(放射線療法治療システム10、または他のCTスキャナ、MRIシステム、PETシステム等の他の画像取得装置からのもの)と重ねる(register)ことができることにも留意されたい。例えば、患者14について以前に取得されたCT画像は、輪郭処理を通じて作成された、識別されたターゲット38を含み得る。患者14に対して新たに取得されたCT画像を、以前に取得されたCT画像と共に登録して、新しいCT画像中のターゲット38の識別を支援することができる。重ね合わせ(登録、registration)処理では、固定型または変形可能な位置合わせツールを使用することができる。]
[0019] [0045]画像データは、3次元画像または一続きの2次元画像の何れかとしてビデオ・ディスプレイに提示されることができる。また、画像を構成する画像データは、ボクセル(voxel)(3次元画像の場合)であっても、ピクセル(2次元画像の場合)であってもよい。説明中では用語「画像エレメント」を全般的に使用して、ボクセルとピクセルとの両方を指す。]
[0020] [0046]幾つかの実施形態では、放射線療法治療システム10は、X線源およびCT画像検出器を含むことができる。X線源およびCT画像検出器は、上述の線形加速器26および検出器78と同様に動作して、画像データを取得する。画像データはコンピュータ74へ送信され、コンピュータ74で処理され、患者の体組織および臓器の画像を生成する。]
[0021] [0047]放射線療法治療システム10は、患者14を支える治療台82(図1に示される)などの患者支持台も備えることができる。治療台82は、少なくとも1つの軸84に沿ってx、y、またはz方向に移動する。本発明の他の実施形態では、患者支持台は、患者の身体の任意の部位を支持するように適合された装置とすることができる。患者支持台は、患者の全身を支えるものに限定されない。システム10は、治療台82の位置を操作するように動作可能な駆動システム86も備えることができる。駆動システム86は、コンピュータ74により制御されることができる。] 図1
[0022] [0048]図2および図3に示されるコンピュータ74は、各種のソフトウェア・プログラムおよび/または通信アプリケーションを実行するためのオペレーティング・システムを備える。詳細には、コンピュータ74は、放射線療法治療システム10と通信するように動作するソフトウェア・プログラム(1または複数)90を含むことができる。コンピュータ74は、医療関係者によりアクセスされるように適合された適当な入出力装置を備えることができる。コンピュータ74は、プロセッサ、I/Oインタフェース、および記憶装置またはメモリ等の典型的なハードウェアを備えることができる。コンピュータ74は、キーボードやマウス等の入力装置も備えることができる。コンピュータ74は更に、モニタ等の標準的な出力装置を備えることができる。また、コンピュータ74は、プリンタやスキャナ等の周辺機器を備えることができる。] 図2 図3
[0023] [0049]コンピュータ74は、他のコンピュータ74および放射線療法治療システム10とネットワーク接続されることができる。他のコンピュータ74は、追加的な、および/または異なるコンピュータ・プログラムおよびソフトウェアを含むことができ、本明細書で説明されるコンピュータ74と同じである必要はない。コンピュータ74と放射線療法治療システム10は、ネットワーク94と通信することができる。コンピュータ74と放射線療法治療システム10は、データベース(1または複数)98およびサーバ(1または複数)102とも通信することができる。ソフトウェア・プログラム(1または複数)90は、サーバ(1または複数)102上にあってもよいことに留意されたい。]
[0024] [0050]ネットワーク94は、任意のネットワーク技術もしくはトポロジ、または複数の技術とトポロジとの組み合わせに従って構築されることができ、複数のサブネットワークを含むことができる。図3に示されるコンピュータおよびシステムの間の接続は、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、公衆交換電話網(「PSTN」)、無線ネットワーク、イントラネット、インターネット、または他の適切なネットワークを通じて行われることができる。病院または医療施設では、図3に示されるコンピュータおよびシステムの間の通信は、ヘルス・レベル・セブン(「HL7(Health Level Seven)」)プロトコル、または任意のバージョンおよび/または他の必要プロトコルを用いる他のプロトコルを通じて行われることができる。HL7は、健康管理環境において電子データを交換するために、異なるベンダの2つのコンピュータ・アプリケーション(送信側と受信側)間のインタフェースの実装を規定した標準プロトコルである。HL7は、健康管理機関が、異なるアプリケーション・システムからの主要なデータ・セットを交換することを可能にすることができる。具体的には、HL7は、交換されるデータ、やり取りのタイミング、およびアプリケーションへのエラーの伝達を定義することができる。これらのフォーマットは、一般に汎用性があり、関係するアプリケーションのニーズを満たすように構成されることができる。] 図3
[0025] [0051]図3に示されるコンピュータおよびシステムの間の通信は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine:医療におけるデジタル画像化および通信)プロトコルを任意のバージョンおよび/または他の必要プロトコルと共に用いて行うこともできる。DICOMは、NEMAにより開発された国際通信規格であり、異なる医療機器間で医療用画像関連データを転送する際に使用されるフォーマットを定義する。DICOMRTは、放射線療法データに固有の規格を指す。] 図3
[0026] [0052]図3の双方向の矢印は、一般に、ネットワーク94と、図3に示されるコンピュータ74およびシステム10の何れか1つとの間の双方向の通信と情報転送を表す。しかし、医療機器およびコンピュータ機器によっては、一方向の通信および情報転送のみが必要な場合もある。] 図3
[0027] [0053]ソフトウェア・プログラム90は、相互に通信して放射線療法治療工程の諸機能を行う複数のモジュールを含む。各種モジュールは、互いに通信して、放射線療法治療計画の実施が意図された通りに行われたかどうかを判定する。]
[0028] [0054]ソフトウェア・プログラム90は、医療関係者によりシステム10へ入力されたデータに基づいて患者14の治療計画を生成するように動作することが可能な治療計画モジュール106を含む。上記データは、患者14の少なくとも一部位の1または複数の画像を含む(例えば計画用画像および/または前処理用画像)。治療計画モジュール106は、治療を複数のフラクション(小部分)に分割し、医療関係者により入力された処方に基づいて各フラクション、即ち、治療に対する放射線量を決定する。治療計画モジュール106は、ターゲット38の周囲に描画された各種輪郭にも基づいて、ターゲット38への放射線量を決定する。1つの治療計画に、複数のターゲット38が存在し、含まれる場合もある。]
[0029] [0055]ソフトウェア・プログラム90は、特定の治療フラクションについて、ガントリ18のアイソセンター(等角点)を基準に患者14を配置して位置調整するように動作することが可能な患者配置モジュール110も含む。患者が治療台82上にある間に、患者配置モジュール110は、患者14の画像を取得し、患者14の現在の位置を、基準画像中の患者の位置と比較する。基準画像は、計画用画像、前処理用画像、または計画用画像と前処理用画像との組み合わせとすることができる。患者の位置を調整する必要がある場合、患者配置モジュール110が駆動システム86に命令を与えて治療台82を移動させることができ、または、患者14は手動で新しい位置に動かされることができる。一構成では、患者配置モジュール110は、治療室内に配置されたレーザからデータを受け取って、ガントリ18のアイソセンターを基準とする患者位置データを提供することができる。レーザからのデータに基づいて、患者配置モジュール110は、駆動システム86に命令を送り、駆動システム86は、治療台82を動かしてガントリ18に対して適正な患者14の位置調整を達成する。レーザ以外の装置およびシステムが使用されて患者配置モジュール110にデータを提供して、位置調整処理を支援してもよいことに留意されたい。]
[0030] [0056]患者配置モジュール110は、治療中に患者の動きを検出および/または監視することもできる。患者配置モジュール110は、X線、室内CT、レーザ位置決め装置、カメラ・システム、肺活量計、超音波、張力測定、胸部バンド等の動き検出システム112と通信すること、および/または動き検出システム112を内蔵することができる。患者の動きは、不規則または予想されない動きである可能性があり、滑らかな経路や再現可能な経路に沿う必要はない。]
[0031] [0057]ソフトウェア・プログラム90は、治療計画に従って患者14に治療計画を実行するように放射線療法治療システム10に指示することが可能な治療実施モジュール114も含む。治療実施(treatment delivery、治療デリバリ)モジュール114は、命令を生成して、ガントリ18、線形加速器26、調節装置34、および駆動システム86に送信して、患者14へ放射線を送達する。命令は、ガントリ18、調節装置34、駆動システム86の必要な動きを連携させて、治療計画で指定される適正量の放射線ビーム30を適正なターゲットへ送る。]
[0032] [0058]治療実施モジュール114は、送達される放射線ビーム30の適切なパターン、位置、および強度を、治療計画で指定される指示に従って計算する。放射線ビーム30のパターンは、調節装置34によって、より詳細にはマルチリーフ・コリメータの複数のリーフの動きによって、生成される。治療実施モジュール114は、標準的なリーフ・パターン、事前に決められたリーフ・パターン、またはテンプレートのリーフ・パターンを用いて、治療パラメータに基づいて放射線ビーム30の適切なパターンを生成することができる。治療実施モジュール114は、アクセスされることが可能な典型事例についてのパターンのライブラリも備えることができ、そのライブラリで現在の患者データを比較して、放射線ビーム30のパターンを決定する。]
[0033] [0059]ソフトウェア・プログラム90は、患者の治療中に放射線療法治療システム10からデータを受け取るように動作可能なフィードバック・モジュール118も含む。フィードバック・モジュール118は、放射線療法治療装置からデータを受け取ることができ、患者の送信データ、電離箱データ、MLCデータ、システム温度、コンポーネントの速度、および/または位置、流量等に関する情報を含むことができる。フィードバック・モジュール118は、治療パラメータ、患者が受けた放射線量、治療中に取得された画像データ、および患者の動きに関連するデータも受け取ることができる。また、フィードバック・モジュール118は、ユーザおよび/または他のデータ源から入力データを受け取ることができる。フィードバック・モジュール118は、データを取得し、それを更なる処理のために必要となるまで記憶しておく。]
[0034] [0060]ソフトウェア・プログラム90は、分析モジュール122も含み、分析モジュール122は、フィードバック・モジュール118からのデータを分析して、治療計画の実施(デリバリ)が意図された通りに行われたかどうかを判定し、新たに取得されたデータに基づいて、計画された実施が妥当であることを検証する。分析モジュール122は、受信したデータおよび/または追加的な入力データに基づいて、治療計画の実施中に問題が発生したかどうかも判定することができる。例えば、分析モジュール122は、問題が放射線療法治療装置10のエラーに関連するものであるか、患者の移動などのような解剖学的エラーに関連するものか、および/または、データ入力のエラーなどのような臨床的エラーに関連するものかを判定することができる。分析モジュール122は、治療台82、装置出力、ガントリ18、マルチリーフ・コリメータ62、患者の配置、および放射線療法治療装置10の構成要素間のタイミング・エラーに関連する、放射線療法治療装置10のエラーを検出することができる。例えば、分析モジュール122は、計画中に治療台の交換が行われたかどうか、計画中に固定装置が適正に使用され考慮されたかどうか、治療中の位置および速度が正しいかどうかを判定することができる。分析モジュール122は、放射線療法治療装置10の出力パラメータ中に変化または変動が生じたかどうかを判定することができる。ガントリ18に関しては、分析モジュール122は、ガントリ18の速度と配置にエラーがあるかどうかを判定することができる。分析モジュール122は、データを受け取って、マルチリーフ・コリメータ62が適正に動作しているかどうかを判定することができる。例えば、分析モジュール122は、リーフ66が正しい時間に動くかどうか、リーフ66の中に動かなくなっているものがないか、リーフのタイミングが適正に校正されているか、および、所与の治療計画についてリーフの調節パターンが正しいかどうかを判定することができる。分析モジュール122は、所与の治療計画について、患者の配置、向き、および位置を検証することもできる。分析モジュール122は、ガントリ18、治療台62、線形加速器26、リーフ66間のタイミングが正しいことも検証することができる。]
[0035] [0061]ソフトウェア・プログラム90は、放射線療法治療システムで取得された画像のセグメンテーションを行うセグメンテーション・モジュール126も含む。セグメンテーション・モジュール126は、独立型のソフトウェア・モジュールであっても、または、治療計画モジュール106、患者配置モジュール110、治療計画モジュール114、フィードバック・モジュール118、または分析モジュール122と統合されたものでもよい。更に、セグメンテーション・モジュール126は、コンピュータ74で記憶および実装されることも、またはデータベース(1または複数)98に記憶され、ネットワーク94を通じてアクセスされることもできる。図4に示す実施形態では、セグメンテーション・モジュール126は、分析モジュール122の一部として示されている。] 図4
[0036] [0062]セグメンテーション・モジュール126は、放射線治療計画を立てるために画像中の組織および臓器の輪郭を描画する作業を自動化する。大まかに言うと、セグメンテーション・モジュールは、5層(5レイヤ)の階層(図5)のセグメンテーション・ステップを行う。この5層の階層では、初めに、各画像エレメントを個々に分析し(画像エレメントまたはボクセル層128)、次いで近傍の画像エレメントまたは画像エレメントのグループをまとめて分析し(近傍層132)、それらの画像エレメントを組織(tissue)グループにまとめ(組織層136)、次いで臓器にまとめ(臓器層140)、最後に臓器系にまとめる(系層144)。この5レイヤの階層のステップでは、解剖学的構造の認識と輪郭との両方を達成するために、ルール・ベース、アトラス・ベース、およびメッシュ・ベースの手法をセグメンテーションに組み合わせ、それにより完全な画像ならびに画像中の詳細を定義する。このようなフレームワーク(局所の決定が大域的な特性により支持される)は、例えば、画像間または画像スライス間で矛盾する直腸コンテンツが存在する場合に遭遇するような、矛盾するセグメンテーションや画像結果に対処する際に有用である。] 図5
[0037] [0063]上記階層の最初のステップでは、各画像エレメントを、その周囲に関係なく独立して分析する。この分析は、画像エレメント層またはボクセル層128と呼ばれ、各画像エレメントに見られるCT強度値が独立した統計事象として扱われる確率的フレームワークを伴う。この分析における最初のステップは、患者身体の外側の境界線を定義し、画像から治療台および患者身体の外部の空気を除去する。セグメンテーション・モジュールは、5レイヤの階層のその後のすべての処理が身体内、即ち、対象領域(ROI)内でのみ行われるように制限するために使用されるマスクを計算する。これにより処理時間が節減され、関連する情報のみを分析および表示することによって混乱が回避される。ROIは、双峰性のヒストグラム分析を行って背景から身体を分離する閾値レベルを見つけることにより、発見される。2値マスクは、その閾値を超えるCT数を有する画像エレメントには1の値を割り当て、他のすべての画像エレメントに0の値を割り当てることにより生成される。この閾値をCTスキャン画像に適用した後、クロージング(2値マスクの拡張と浸食)やオープニング(浸食を行ってから拡張を行う)等の形態的操作と、連結成分分析(CCA、connected-component analysis)とが使用されて、穴を埋め、閾値で処理されなかった分離した点を取り除く。図6は、これらのステップを行った中間結果を示す。] 図6
[0038] [0064]CCAは、回帰サーチを使用することにより非常に効率的に計算される。連結成分の定義は、各画像エレメントが集合中のすべての他の画像エレメントにつながっている画像エレメントの集合である。その結果は、図7に示すような画像であり、画像エレメントに、その画像エレメントが属するコンポーネントを識別する索引が再び付けられている。この画像が次いで効率的に分析されて、各種の動作、例えば、各「島」の面積を計数する、所与の最小面積未満の島を除去する、最も大きい島を選択する等の動作を行うことができる。] 図7
[0039] [0065]次いで、画像エレメントが、ベイズ分類を使用した確率的分析フレームワークにかけられて、各画像エレメントが表す組織に関する統計推論が生成される。競合する仮説の集合Hおよびデータの集合dを想定すると、そのデータに最も合致する仮説hMAPが選択される。放射線療法の計画において、仮説の集合Hは、組織クラス(例えば空気、脂肪、筋肉、血管、骨)の集合である。データdは、CT画像の強度値である。各画像エレメントにおいて、最適な仮説を選択する処理が行われ、最適な仮説は、各組織クラスについての事後確率を計算し、最大の事後確率(MAP)に関連したクラスを選択することにより、見つけられる。ベイズの規則により、尤度p(d|h)と事前確率p(h)という2つの既知の量の積として、未知の事後確率p(h|d)を計算することができる。]
[0040] ]
[0041] [0067]尤度は、特定の仮説が真であるとして、あるデータを観察するオッズ(odds、可能性)を表す。事前確率は、そのデータを観察する前に知られている事柄を表す。尤度と事前確率は共に、トレーニング・データのセットから推定されることができる。]
[0042] [0068]尤度p(d|h)は、ある種類の組織を仮定したときにCT値が或る値になる確率である。ガウス分布を用いて画像化ノイズをモデル化するのが適当であり、従って、この適用例における尤度は、ガウス確率分布関数(PDF、probability distribution function)になる。分布、平均値、および分散のパラメータは、トレーニング・データから測定されることができる。図8は、そのような測定の結果を示す。曲線134は空気を表し、曲線138は脂肪、曲線142は筋肉、曲線146は骨を表す。] 図8
[0043] [0069]トレーニング・データがない場合、各組織クラスの平均値および分散は、CTスキャンのヒストグラムから大まかに推定されることができる。ヒストグラムは、可能なCT値の範囲にわたる、当該値を有する画像エレメントの個数のグラフである。セグメンテーション・モジュール126は、まず脂肪と筋肉とについての組み合わされたピークを空気のピークと骨のピークとから分離し、その後に筋肉から脂肪を分離する。ヒストグラムでは、尤度(各ピークの中心と幅を決定する)だけでなく、事前確率(ピークの高さを決める)も固有である。]
[0044] [0070]前のセクションの確率密度は推定されたものであり、決定されたものではなない。一般的な密度の形態(ガウス)を想定すると、それらの支配的パラメータは、観察されるデータの尤度を最大にするように推定されることができる。しかし、欠落したデータ、隠れたデータ、または潜在的な確率変数で表されたデータがある場合は、確率密度は推定が難しい。これは、観察されたことがないデータの尤度は計算することができないためである。代わりに、セグメンテーション・モジュール126は、期待値を計算し、その期待値を最大化する。この処理は期待値最大化(EM)と呼ばれる。]
[0045] [0071]セグメンテーション・モジュール126は、EMを適用して、ベイズ分類の結果を改善する。可視の変数はCT画像の強度であり、隠れた変数は組織の分類であり、これらのパラメータが組織強度分散を支配する。これにより、統計モデル(各クラスの平均値および分散)を使用したセグメンテーションと、前のセグメンテーションに基づくモデルの再推定とを繰り返す適合型の分類を形成する。これらの2つのステップ、即ちEステップとMステップとが図9に示される。この処理を繰り返すたびに、統計モデルと前のセグメンテーションの結果との間の収束が改善される。CTデータの場合、3回以内の反復で満足のいく収束が得られることを、経験的証拠が示している。] 図9
[0046] [0072]モデル・パラメータの推定をよりロバストにするために、Mステップの実施では、部分的体積アーチファクトを含むことが予想される画像エレメントを無視することが好ましい。その候補は、骨に囲まれている画像エレメントとして特定される。なぜなら、CTスキャン画像では、骨髄の強度(intensity)が筋肉および脂肪に似る場合があるためである。]
[0047] [0073]尤度と同様に、事前確率p(h)もトレーニング・データから直接に測定されることができる。例えば、所与の組織クラスの事前確率は、その組織クラスのインスタンス(事例)の数を数え、次いでそのインスタンスの数を画像エレメントの総数で割ることにより計算されることができる。このような事前確率を固定事前確率と呼ぶ。]
[0048] [0074]あるいは、空間変動事前確率(SVP)で、各組織クラスが所与の空間位置に出現する確率を表す。SVPは、このフレームワーク内でセグメンテーションに使用される統計確率的アトラスの1つのコンポーネントである。アトラスは、トレーニング・データから計算されるが、それは、母集団中のすべてのCTスキャン画像を位置合わせすることにより計算される。これらの位置合わせされたスキャン画像の平均が平均画像である。SVPは、各画像エレメント位置において、その組織が出現するスキャンの数を加算することにより生成される。確率とするために、計数は正規化され、すべてのクラスにわたる合計が「1」に等しくなるようにされる。一連の前立腺の事例から構築されたSVPの例が図10に示されている。図10に示す枠は、平均画像(左上)、空気の確率(上中央)、脂肪の確率(右上)、筋肉の確率(左下)、および骨の確率(右下)を表す。実際には、小さいトレーニング・セットから構築されたSVPを、ロバスト性のために、固定事前確率(SP)と混合させる必要があり得る。ここで図示し説明される実施形態では、セグメンテーション・モジュール126は、90/10の比のSVP/SPを用いる。一実施形態では、アトラスは、治療前、治療中、または治療後に得られる新しい患者データに基づいて変更されることができる。更に、所与の画像エレメントに対して確立された確率は、治療前、治療中、または治療後に得られた新しい患者データまたは患者固有データに基づいて変更されることができる。この患者固有データは、キロボルトCT、メガボルトCT、MRI、またはPETスキャン画像を含むことができる。新しいCTスキャン画像を使用してSVPを変更するには、まずスキャン画像をセグメント化し、次いで上述の平均化処理に含めることにより、新しいスキャン画像に有利な重みが与えられる。重み付けされた平均化の最も極端な例は、母集団を完全に無視し、新しいスキャン画像に全重みを与えるものである。例えば、患者のキロボルトCTが単独で使用されて、患者のメガボルトCTをセグメント化する際に使用するSVPを生成することができる。これを行う方法の1つは、キロボルトCTをセグメント化して、各組織クラスについての2値マスク(0と1)を生成してから、ガウス平滑化等を用いて各マスクをぼかし、各ボクセル位置におけるすべてのマスクにわたる和が1になるように結果を正規化するものである。別の方法は、空間位置に応じて、異なった量だけマスクをぼかすものである。例えば、直腸の周辺では、より多くの解剖学的変化が日々発生することが予想される。そのような空間的に変動する変化は、トレーニング・データの定性的推定または定量的測定から導出されることができる。時間に伴う変化を測定するために、トレーニング・セットは、母集団中の各患者についての連続して取得されたスキャン画像の集合からなる。] 図10
[0049] [0075]SVPあるいはアトラスのコンポーネントは、適用される前に、初めに分析対象のCTスキャン画像と位置合わせしなければならない。したがって、セグメンテーション・モジュール126は、骨のプロファイルを合わせることにより実時間でアトラスをCT画像と位置合わせする。骨プロファイルは、その骨を表すスライス中の画像エレメントの数と、スライス番号とを関係付けたグラフである。下/上の方向および後/前の方向の平行移動を見つるには、骨プロファイルを使用するので十分である。図11に、前立腺の画像データについての典型的な骨プロファイルを示す。もちろん、身体の他の部位についての骨プロファイルは、これとは異なる。左右方向の平行移動(CTスキャナの中心に配置する必要があるため常にほぼゼロ)と、左右方向の縮尺は、身体のROIの境界ボックスから自明に計算されることができる。] 図11
[0050] [0076]セグメンテーション・ステップのセグメンテーション・モジュール階層の2番目の層(レイヤ)では、各画像エレメントがそのすぐ近傍内に位置するものと考慮する。これらのステップは、一般に近傍層132と呼ばれ、空間情報ではなく視覚的情報に厳密に基づいて画像エレメントを分類した後に残る残余の曖昧性の一部を解消する。]
[0051] [0077]近傍層132は、オブジェクトと呼ばれる、組織の連続した部分の特性を、組織中に誤った穴を残さないように、計算する。即ち、この処理では、組織の区分的な均質性に関する仮定を立てる。その効果は、画像中のノイズを低減することである。]
[0052] [0078]近傍層132の最初のステップは、マルコフ確率場(MRF、Markov random field)と呼ばれる確率的モデルを使用して、コンテクストの制約を導入することである。利便な点として、MRFは、特別の発見的方法ではなく、合理的な法則を使用して系統的に画像エレメント間の影響をモデル化する。即ち、MRFでは、画像エレメントの同時確率分布を、他の画像エレメントとの関係してモデル化する。セグメンテーション・モジュール126は、条件付き確率分布P(wi|ws−{i})の形で画像エレメント分類の尤度をモデル化し、所与の画像エレメントwiの分類を、その周囲(画像中のすべての他の画像エレメント)ws−{i}に関連付ける。マルコフ性(Markovinaity)は、すべての他の場所における変数の強度が、その近傍wNのみへの依存に等しいと仮定することにより、計算を扱いやすくする。数学的には、これは、P(wi|ws−{i})=P(wi|wNi)と示される。]
[0053] [0079]一連の数学的導出後、正味の効果は、事前確率が、単集合の事前確率と近傍の事前確率との積に分解された状態になることである。セグメンテーション・モジュールは、MRFを最適化する方法として、平均場近似(mean field approximation)を実施する。これは、概念的には、近傍の画像エレメントとは異なるように思われる画像エレメントも近傍エレメントに属するように分類されるように、組織の事後確率を平滑化することに似ている、と考えることができる。いくらかの上位レベルの情報を下位レベルへ伝搬する効率的な方法は、第2層のMRFを第1層のEMの反復に埋め込むものである。図12は、平均場近似の3回の反復を使用した近傍層の効果を示す。図12の左の枠は、空間的に変動する事前確率を適用しない場合の、画像エレメント分析ステップの結果を示す。図12の中央の枠は、空間的に変動する事前確率を含めた場合の結果を示す。図12の右の枠は、マルコフ確率場を分析に含めた後の結果を示す。] 図12
[0054] [0080]セグメンテーション・モジュール126の近傍層132は、画像中の部分的体積アーチファクトの補正も行う。部分的体積アーチファクト(PVA、partial volume artifact)は、1つの画像エレメント位置に1つより多い種類の組織が存在する時に生じる。その結果、未分類の画像エレメント、または誤分類された画像エレメントが発生する。例えば、脂肪のCT強度値は空気および筋肉のCT強度値にまたがるため、一部が空気で一部が筋肉からなる画像エレメントは、脂肪のように見える場合がある。]
[0055] [0081]セグメンテーション・モジュール126は、以下のルール・ベースのロジックに従って、各画像エレメントの直近の近傍を分析することによりPVAを補正する。まず、(脂肪の平均値−(脂肪の標準偏差)×3)の数量未満の値を有する骨の画像エレメントが、空気に分類される。次に、(骨の平均値+(骨の標準偏差)×3)の数量より大きい値を有する未分類の画像エレメントが骨に分類される。次に、身体の境界線上にある画像エレメントに、それらの隣接エレメントのうちの最も高いラベルを有する隣接エレメントのラベルが、割り当てられる。境界の画像エレメントは、その隣接する何れのエレメントの分類とも異なる分類である画像エレメントと定義される。次いで、空気に隣接している未分類の画像エレメントが空気に分類される。空気に隣接していない場合、画像エレメントは、それらの最も優勢な隣接エレメントのクラスに割り当てられる。更に、空気と筋肉との両方に隣接している脂肪と骨との画像エレメントは、空気に分類される。この規則は、直腸と空気との間の境界を精密にする必要がある前立腺のスキャンと最も関連性が高い。]
[0056] [0082]セグメンテーション・モジュール126で行われるステップの階層の3番目の層は、組織(tissue)層136である。組織層136は、臓器に関する固有の知識や分析に関係なくすべての処理を実施するが、単なる画像エレメントや画像エレメントの近傍の分析よりも広いコンテクストを取り入れる。組織層136では、各ボクセルに適用されるルール・ベースの論理分析を使用して、前のセグメンテーションの層で生じたエラーを訂正する。この規則については下記で概略的に説明するが、この規則は、治療前、治療中、または治療後に取得される新しい患者データまたは患者固有データ(上述)に基づいて変更されることができる。前の層128、132におけるエラーは、それらの層で行われる分析の焦点が狭いために生じる可能性がある。]
[0057] [0083]セグメンテーション・モジュール126の組織層136は、初めに、画像のセグメンテーションですでに得ている知識を使用して身体のROIを精緻化する。例えば、耳の中などのような身体の外周部にある空気のポケットを除去することが望ましい。セグメンテーション・モジュール126で行われる以下のステップでは、身体ROIを、ROIに接している空気の分だけ縮小する。]
[0058] [0084]1)身体用のマスクを反転することにより空間のマスクを作成する。
[0085]2)空間のマスクを、空間の内側ではなく輪郭だけを表すように変更する(境界線の画像エレメントを特定することによる)。
[0086]3)CCAを使用して身体内の空気の島を見つける。
[0087]4)空間のマスクに隣接する空気の島のリストを作成する。
[0088]5)島のリストにあるすべての島から構成されるマスクを構築する。
[0089]6)身体ROIからマスクを減算する。]
[0059] [0090]セグメンテーション・モジュール126の組織層136は、画像中に皮膚を定義する作業も完了させる。皮膚は、そのCT強度が筋肉のCT強度と重なるため、先のベイズ分類から除外される組織である。セグメンテーション・モジュールは、空間位置に基づいて皮膚を識別する。初めに、身体の外郭線の要素であるすべての画像エレメントが皮膚に分類され、それにより、身体画像の外側周囲に閉じた表面を形成する。次いで、その表面に近接する脂肪ではない画像エレメントも皮膚に分類される。]
[0060] [0091]セグメンテーション処理における皮膚の識別は、距離変換を使用して行われる。2値マスクが与えられると、距離変換が計算されて、図13に示すように、各画像エレメントの確率値を、マスクの境界からの距離(ミリメートル単位)に置き換える。最大距離はアルゴリズムのパラメータであり、最大距離を超えて延びる距離を切り取るために使用される。図13に示されるグレースケール画像では、値が明るい値であるほど、外郭線150からの画像エレメントの距離が長くなる。] 図13
[0061] [0092]皮膚をセグメント化するために、最大距離は、指定されたミリメートル数に設定される。次いで、距離変換の計算に閾値処理が続き、表面の最大距離内にあるすべての画像エレメントのROIを生成する。次に、そのROIの中で脂肪以外の組織(例えば空気、筋肉、骨)に分類されている画像エレメントが、皮膚に変更される。最後に、CCAが使用されて、皮膚のボリュームの内側にある穴を埋める。]
[0062] [0093]セグメンテーション・モジュール126の組織層136は、次に、画像中の骨の内側を埋めるステップを行う。骨髄のCT強度値は、脂肪や筋肉と似ている場合があり、そのため、以下の要領で骨の内側を埋める必要がある。]
[0063] [0094]初めに、セグメンテーション・モジュール126は、それまで骨に分類されていた画像エレメントのマスクを構築し、そのマスクを膨張させ、次いで浸食させ(形態的クロージング操作)、CCAを使用して骨領域内側の穴(骨以外として分類された画像エレメント)を埋める。]
[0064] [0095]骨を埋めるステップの結果が図14に示される。近傍層のMRF後の結果が図14の左の枠に示され、セグメンテーション・ステップの階層の組織層の骨を埋めるステップを行った結果得られた画像が、図14の右の枠に示される。図14の右の枠は、空気154、脂肪158、筋肉162、骨166、および皮膚170としての最終結果を示す。] 図14
[0065] [0096]セグメンテーション・モジュール126の組織層136は、次いで、骨組織を各種の骨に再分割するステップを行う。骨組織に分類された各ボクセルが、複数の特定の骨の1つに属するように再分類され、骨ではないボクセルはすべて変更されないままとする。骨認識の工程は、高い信頼度で認識を行うことができるスライスから開始し、スライスからスライスへと骨オブジェクトを追跡することによって進行する。追跡処理では、1つ前のスライスからの対象オブジェクトとの重複につい調べ、或るオブジェクトが分離したり他のオブジェクトと合体したりするのを監視する。この処理が図24、図25、図26に概略的に示され、これらの図は、尾方端から頭方端へのスライスを通しての進行を示す。図24を参照すると、左上の画像は、両大腿骨174、178の最初の認識を示す。左下の枠では、坐骨182、186の尾方端が初めて出現する。右上の枠では、右の坐骨186が恥骨190へと分かれる。中段右の枠では、両方の坐骨182、186が恥骨190に分かれており、右下の枠では、左右の恥骨が一体化した状態である。図25は、坐骨182、186、および恥骨174、178が一体化して臀部194となるところ(左上)から、坐骨が腸骨198、202に変化するところ(右下)までのスライスの進行を示す。図26に示されるスライドでは進行が継続し、坐骨182、186がそれぞれ左右相称に腸骨198、202へと変化し(左上)、次いで尾てい骨206につながる。腸骨198、202は、一方の側で仙骨210になり(左下)、次いで左右相称になる(右上)。図26の右下の枠は、一連の黒い斑点214として石灰化を示す。] 図24 図25 図26
[0066] [0097]追跡は、大腿骨174、178を最も高い信頼度で見つけることができる最初のスライスから開始する。セグメンテーション・モジュール126は、このスライスを決定しなければならない。セグメンテーション・モジュールは、セグメンテーション階層の臓器層で同様の問題に遭遇するが(下記で説明)、そこでは、モジュールは、最も高い信頼度で構造が認識されうる、筋肉、腺、または他の臓器のスライスを、判断しなければならない。最初のスライスで構造が認識されると、セグメンテーションは、尾方からと頭方からとのうちの1つの方向または両方の方向に、スライスを通して伝播する。この実施の詳細は臓器ごとに異なるが、ここではこの手法を概略的に説明する。方法の1つは、5層のセグメンテーション階層で先に行われた解剖学的アトラスとの位置合わせから、最初のスライスを導出するものである。例えば、前立腺事例の解剖学的アトラスの範囲は、最も尾方(解剖学的に下方)のスライスが大腿骨の断面を含むものとして、定義されることができる。別の方法は、ランドマークから最初のスライスを導出するものである。例えば、腹筋は、その位置が、恥骨の上方のスライスの腹側にあることから容易に認識されることができ、そのスライスから頭方に伝播されることができる。別の方法は、可能性のあるすべてのスライスを大まかにセグメント化し、次いで各スライスに信頼度スコアを割り当て、最も高い信頼度のスライスを選択することにより、最初のスライスを探すものである。例えば、前立腺がセグメント化するための最も大きく且つ単純な断面を有するスライスは、左の恥骨と右の恥骨の両方が左右の坐骨と一体化するスライス(図25の左下の枠に示される)の近傍にあるものと予測される。しかし、それが常に正にそのスライスであるとは限らず、そのため、或る範囲のスライスが検討されなければならない。所与のスライスに対する信頼度スコアは、そのスライス上の大まかにセグメント化されたオブジェクトが実際にターゲット構造である確率として計算される。この確率を効率的に計算するために、我々は、構造の或る特徴、即ち、識別のための特性を定義する。特徴は、構造の位置、面積、アスペクト比、向き、または楕円が合致する度合いを含むことができる。各特徴は、それと関連付けられた尤度を有する。尤度は、あるオブジェクトが対象の構造であるとした場合の特徴の確立の値を表す確率分布関数(PDF、probability distribution function)である。ベイズの規則に基づくと、あるオブジェクトが対象構造である確率は、尤度の積に比例するものとして表されることができる。尤度PDFは、経験的推定、または手作業でセグメント化されたトレーニング・データの測定から、求めることができる。] 図25
[0067] [0098]この方法を、大腿骨を追跡するための最初のスライスを見つける問題に適用する場合を考える。この場合、オブジェクトの面積、アスペクト比、回転の角度、およびオブジェクトが楕円形状である度合いを、特徴として選択する。尤度PDFは、幾つかの手作業によるセグメンテーションから測定されたガウス分布である。図17は、低い確率(右側)と高い確率(左側)を有するスライスを示す。図17の上側の画像は、骨オブジェクト216とフィットさせた楕円218とを示す。大腿骨の中間部についての予想にマッチングすることに関して、左側のスライスのスコアは右側のスライスよりもはるかに高い。図17の下部に、上方から下方へのスライスにわたる信頼度スコアのグラフを示す。この「最初の大腿骨スライス」は、見つかると情報ファイルに記憶され、後に、このスライスの下方のスライス、即ち、他のスライスまで及ぶ必要がない処理を制限する。この方法が大腿骨以外の他の臓器に適用される場合、「最も一致する」スライスを除くすべてのスライスが再セグメンテーションされるが、これは、セグメンテーションにおける信頼度が高い領域から不確定性がより多い領域へ向かって進行していくように、「最も一致する」スライスから尾方または頭方へ情報を伝搬することによりなされる。] 図17
[0068] [0099]骨の追跡のステップが完了すると(図26参照)、残っている骨組織が、骨盤または点として分類される。点は、体積が1立方センチメートル未満の骨オブジェクトである。これらは、後に、埋め込み基準マーカとして分類される可能性のある候補である。] 図26
[0069] [00100]骨の認識に続いて、骨の境界線がより正確に識別されることができる。これは、滑らかな曲線の境界をフィットさせようとする能動輪郭(または歪めることが可能な3次元メッシュ)をフィットさせることにより、達成される。この処理が図27〜29に概略的に示される。図27で、左の枠は、各オブジェクト220がどこにあるかを概略的に認識した結果を示す。右の枠は、骨オブジェクトの境界222が精密化されたときにどのように変化するかを示す。] 図27 図28 図29
[0070] [00101]骨の輪郭の処理が図28に示される。能動輪郭には当業者に知られた多くの種々の実施手法が存在する。1つの方法は、最初の輪郭に沿って一定間隔で頂点を分布させるものである。最初の輪郭は、認識された骨の外郭線である。各頂点において、認識されたオブジェクトから外方向に向きに且つ輪郭に直交する単位ベクトルとして、垂直(法線)ベクトルが計算される。図28は、矢印の先端を有する短い線として法線ベクトル226を示す。反復のたびに、頂点は、仮想の力の影響を受けて移動する。輪郭は閉じたままである必要がある(輪郭自身を横切ることや、分断することはできない)。それぞれの反復の後、連続する頂点間が引き伸ばされて間隔が開き過ぎた輪郭の箇所には新しい頂点が挿入され、隣接する頂点同士が移動して近づき過ぎた輪郭の箇所では頂点が削除される。頂点の移動を支配する力は、内力成分と外力成分とを有する。内力は、曲線の曲率を最小にすることにより滑らかな曲線を維持しようとする。これは、数学的には、各頂点に、その外側を向いた表面の法線ベクトルと反対方向に、内側に向かって移動するように指示することに等しい。外力は、画像中の特徴に向けて頂点を動かそうとする。特徴は、頂点が位置するボクセルにおける画像勾配の大きさと同様に簡単に計算されることができる。あるいは、特徴は、プロファイル、即ち、画像ボクセルの放射線上のCT強度のグラフとして定義されることもできる。図28に示される線226は、実際には、表面法線ベクトルの方向に投射されるそうした放射線の位置である。プロファイルは、相互相関を使用して所定の特徴プロファイルと比較される。探索の対象となる特徴は、骨の種類および骨の輪郭線上の位置により異なる。特徴の種類は、狭い骨境界(プロファイルに沿った強度の鋭いピーク)、広い境界(幅が広いピーク)、または段階的境界(ステップ関数)を含むことができる。特徴を発見することに加えて、発見された特徴の強さも計算される。強さには、相関の度合いと特徴の近接度との2つの要素が影響する。特徴の強さは、内力に与えられる重みと比べて、外力に割り当てられる重み付けに影響する。画像の特徴が見つからない極端な事例では、平滑性が唯一の駆動源となる。] 図28
[0071] [00102]幾つかの輪郭線またはメッシュは同時に適合する。図29では、左側の恥骨の輪郭線230は、1回の反復について適合し、一方、右の恥骨の輪郭線230に踏み込むことは許されていない。そして、2つの役割は、右側の輪郭線が左側の領域に踏み込むことができないように、逆転する。この工程は1回の反復ごとに繰り返す。] 図29
[0072] [00103]骨の輪郭識別に続いて、組織層136の最後のステップは、骨ではない組織内で最初の2つの層128、132を再度実行することである。これにより、次の2つの目標が達成される。即ち、以前は骨であると考えられていたボクセルを分類すること、および、EMアルゴリズムの隠れた変数(組織分類)がよりよく理解されるので少し結果を改善できることが達成される。処理時間が問題となる場合、最初の2層の再実行は、骨の境界識別のステップで訂正されるまで当初は骨に分類されていたボクセルのみで行われるように、制限されることもできる。]
[0073] [00104]コンテクストが局所(ボクセル層128)から全体(系層144)(図5)に拡大するのに従って、セグメンテーション処理の計算量が指数関数的に増大する。セグメンテーション階層のそれぞれの連続する層ごとに分析の範囲が広くなっていくので、各画像エレメントから得られる情報の数が減少していく。例えば、画像エレメント層128では、CTスキャンの強度、アトラスのスキャン強度、およびクラスごとのアトラス空間変動事前確率(SVP)を考慮した。近傍層132では、クラス単位の事後確率を加えたが、アトラスおよび強度の情報は考慮から除外した。組織層136では、組織クラスのラベルに注目することを優先して、大半の部分について、確率の考慮をやめることによりその方向性を継続した。] 図5
[0074] [00105]セグメンテーション・モジュール126で行われるステップの階層の4番目の層は、臓器層140である。組織層136と同様に、臓器層140も組織クラスのラベルに着目する。臓器層では、例えば、空気と筋肉とを組み合わせて直腸の内側を形成する等のように、異なるボクセル分類を共にグループ化して臓器を形成または認識する。臓器層140は、寛骨を大腿骨頭、大腿骨、坐骨に分離する等のような、1つの組織を種々の臓器や臓器部分へと分割することもできる。臓器層140の最初の目標は、臓器の境界を正確に判断することではなく、境界識別の段を設定するために認識ステップを行うことである。]
[0075] [00106]臓器層140のステップの1つは、幾何学的プリミティブを画像オブジェクトに合わせることである。CCAの出力は、それぞれの連結したコンポーネントまたは「島」に一意のラベルが割り当てられた画像であることを思い出されたい。図15に示すように、筋組織は、他の組織から抽出されると(図15の左の枠に示される)、CCAにより分析され、それぞれの連結したコンポーネント(あるいは島、あるいはオブジェクト)234に一意の色をつける(図15の右の枠に示す)。これらの島を画像オブジェクトと呼ぶ。ルール・ベースのロジックが適用され、それらの島の特性に基づいて推論を行う。それらの特性は、状況的な特性および量的な測定値を含む。状況的特性の例は、或る画像オブジェクトの他の画像オブジェクトに対する位置、および、何れの画像オブジェクトが隣接オブジェクトであるかを確定するための他の画像オブジェクトに対する相対的位置を含む。量的測定値の例は、画像オブジェクトの面積、長さ、周辺長、および平均値を含む。他のパラメータも使用されることができる。] 図15
[0076] [00107]単なる輪郭付けではない認識を行うためには、「大きい画像(全体像)」の視点を維持し、詳細により混乱させられることを回避する必要がある。従って、セグメンテーション・モジュール126は、形状モデルを画像オブジェクトに合わせることにより、詳細を平滑化する。形状モデルは、円、楕円、中実の円、中実の楕円、中実の楕円体、中実の4分の1円、線などのうちの1または複数の幾何学的プリミティブを備える。この平滑化の実現のための各種技術が存在する。]
[0077] [00108]最初の例は、オブジェクトの要素である画像エレメントの座標に対して主成分分析(PCA、principle component analysis)を行うことに基づいて、中実の楕円または楕円体をオブジェクトにフィットさせるものである。別の例は、オブジェクトの境界に中空の楕円をフィットさせるものである。別の例は、画像オブジェクトの内側に制限して円または球体をフィットさせるものであり、これは、画像オブジェクトの距離変換を計算し、最大の距離値(画像エレメントの半径)を有する画像エレメントを見つけることによりなされる。その位置は、円または球体の中心である。更に別の例は、画像オブジェクトの内側に制限して楕円をフィットさせるものであり、それは、楕円を内側の円に初期設定してから、[90,−90]の可能な角度の範囲内でサーチを2度繰り返すことにより、なされる。それぞれの角度について、この処理は、中心から楕円の長軸に沿って進行して何れかの方向で境界線を見つけ、中心を中点へ移動し、楕円の短軸に沿って繰り返す。更に別の例は、線をフィットさせるものであり、これは、画像オブジェクトの周囲の矩形の境界のボックスを抽出し、その領域をそれぞれの許容可能な角度だけ回転させ、1つの座標軸に沿って投影し、その品質を測定することにより、なされる。更に別の例は、線形回帰により線をフィットさせるものである。]
[0078] [00109]別の実施形態では、単純な幾何学的プリミティブで得られる以上の自由度が望まれる場合、スプライン、スネーク(snake)、および形状に基づく事前確率を取り入れたレベル設定法などのような、より複雑なオブジェクトのパラメータ化が利用され得る。]
[0079] [00110]処理のこの段階で、画像セグメンテーション処理の過程で蓄積された知識は、単なる各画像エレメントの組織クラスのラベルの集まりよりも上のものとなっている。例えば、臓器の関心領域(ROI)と呼ばれるアトラス・コンポーネントがある。このコンポーネントを生成するために、各臓器について、その臓器のセグメンテーションが2値マスクに変換される。トレーニング・セット中のすべてのスキャンのマスクが重ね合わせられ、臓器ROIを完成する。このようにして計算された臓器のROIは、各臓器についてサーチすべき場所を限定するのに有用である。また、Mステップから推定される確率分布、ベイズ分類で計算される事後確率、サーチ空間を狭めるためにランドマークに対して実時間または「オン・ザ・フライ」で計算される幾つかの中間ROI、迅速なプロファイリングのための座標軸に沿った画像データの投射、様々な解剖学的領域についてのスライスの範囲、および各種のランドマーク、特に骨の構造の物理座標も存在する。画像の形態で記憶されることができないすべての情報は、ディスク上のASCIIファイルとして書き込みおよび読み出しが可能な表に記憶される。これを情報ファイルと呼ぶ。]
[0080] [00111]臓器層140でもランドマークを利用して組織をグループ化して臓器を形成する。ランドマークは、画像中のターゲット構造が構築される足場(scaffolding)となるものである。最終的なセグメンテーションで必要とされない臓器または臓器の部分は、必要な臓器を見つける処理の一部としてセグメント化されることができる。例えば、セグメンテーション・モジュール126の臓器層140は、図16に示されるように、前立腺242を見つける前に、内閉鎖筋238をセグメント化する。これにより、前立腺を誤って横側に「漏れ」させて筋肉に入れてしまうことが回避される。図16に示すように、直腸のセグメンテーションの後に、肛門挙筋、左右の骨盤底筋、前立腺、静脈叢、陰茎球、即ち、直腸を囲むすべての構造が識別されており、特に、直腸を見つける問題を排除の処理へと低減する。従って、一連のランドマークは、一連の足場のレベルと似ている。] 図16
[0081] [00112]より具体的には、図16に、セグメンテーション階層の組織層136を終えた結果(左の枠に示される)と、臓器層140を終えた結果(右の枠に示される)とを示す。図16は、空気246、脂肪250、筋肉254、皮膚258、尾てい骨206、大腿骨頭262、坐骨182および186、内閉鎖筋238、骨盤底266、腹筋268、直腸270、膀胱274、および前立腺242を示す。以下の説明では、前立腺領域を具体例として使用する。すなわち、セグメンテーション・モジュール126がランドマークを使用してターゲット構造を構築する方式の具体例として使用する。同じ処理を使用して、画像中のターゲット構造、または、患者の他の画像化した領域からのターゲット構造を、定義または構築することができる。] 図16
[0082] [00113]画像エレメント層のEMセグメンテーションでは筋組織クラスのガウス分布を支配するパラメータを計算したが、以下の要領で、任意のROI内部で局所的な精度でそのパラメータを再計算することができる。]
[0083] [00114]1)不要な組織(例えば斑点や空気)を除去することによりROIを精緻化する。
[00115]2)そのROI内のCT強度値のヒストグラムを計算する。
[00116]3)二峰性ヒストグラム分析を使用して閾値を計算する。
[00117]4)ROI内のすべての所望される組織を選択するように閾値処理を行う。
[00118]5)部分的な体積アーチファクトを回避するために収縮(浸食)を行う。
[00119]6)収縮を行ったマスク内のCT強度値の平均値および分散を測定する。
[00120]7)それらパラメータを、後に臓器と軟組織のランドマークとのセグメント化で使用するために、情報ファイルに格納する。]
[0084] [00121]一般に、それぞれの筋肉と臓器とを認識するために同様の一連のステップが続いて行われる。各ステップの詳細なロジックは特定の臓器ごとに異なるが、全体的な骨組みは以下の通りである。]
[0085] [00122]1)サーチ空間を制限するROIを生成する。
[00123]2)そのROIで候補の組織のフィールドを生成する。
[00124]3)期待値と最も一致する(例えば1つ前のスライス内のオブジェクトと重複するなどの)フィールド内のオブジェクトを認識する。
[00125]4)オブジェクトに対して形状モデルをフィットさせる。
[00126]5)すべてのスライスにわたって形状パラメータを平滑化する。
[00127]6)形状データと画像データとを一致させることによりオブジェクトの境界を精緻化する。]
[0086] [00128]この6段階の工程の一例として、前立腺をまたぐ外閉鎖筋を考察する。図18は、ルール・ベースの論理分析により達成されるROI130の生成の結果を示す。より具体的には、すべての側でROIに骨または線により境界をつけるために、骨の先端と先端との間に線278が引かれる。1本の線が、右の坐骨の下部と左の坐骨の下部とを結ぶ。第2の線が、右の坐骨の上部と右の恥骨の下部とを結ぶ。第3の線が、左の坐骨の上部と左の恥骨の下部とを結ぶ。次のステップは、この1つのROIを2つの左右のROIに再分割することである。これを実現するために、前立腺と筋肉との構造が交差するように思われる事例では、前立腺から筋肉を分ける線を引くことを試みる。ロバスト性のために、2つの異なる方法を使用してその線を引き、結果を組み合わせる。まず、図19に各種スライスについて示されるように、筋組織が骨を接続すると予想される様式と同じように、複数の骨のランドマークの間に線が引かれる。恥骨190が存在しないスライスでは、坐骨182、186の上部内側端と、下部内側端から開始して筋肉と脂肪との間の境界が見つかるまで内側に移動していくことにより発見される点とをつなぐ線282が、描かれる。恥骨190が存在するスライスでは、その線の上部頂点が、坐骨182、186の上部内側端のかわりの、恥骨190の下側の中心である。ロバスト性を向上させるために、線を引く代替の方法も行われ、この方法では、線294を、筋肉を前立腺からいくらか分離する傾向のある細い脂肪の領域に対してフィットさせる。これらのフィットさせた線294が図20に示され、これらの線は、CT画像で、横断されるボクセル・エレメントの合計が最小になる線を探すことによって、見つけられる。線のパラメータ(位置および向き)の滑らかさがスライス間で強制され、それにより、曖昧性のある状況を解消することを助ける。任意の行において最も横の線を使用して2種類の線を組み合わせ、図21に示される結果を生成する。このROIの中で、形状モデル(この場合は楕円であるが、他の事例では各種の2次元または3次元の幾何学形状の任意のもの)が、筋組織にフィット(適合)される。この操作は、各スライスに個別に行われ、次いで、すべてのスライスにわたって楕円パラメータが平滑化され、図22の上の枠に示す結果を生成する。最後に、筋肉と脂肪/骨組織との間の縁部が図22の下の枠に示されるように近くにあれば、楕円の境界をわずかに拡張することにより、筋肉の境界が精緻化される。最終結果は、完全には楕円形ではない。] 図18 図19 図20 図21 図22
[0087] [00129]臓器が前立腺である場合に臓器の第2ステップ(候補組織のフィールドを生成する)がどのように達成されるかを考察する。多くの臓器/筋肉の場合、このステップは、組織のセグメンテーションから「筋肉」と分類された全ボクセルをROI内で選択するのと同じように単純である。しかし、前立腺の組織は、「シード(seed)」と呼ばれる埋め込み不能の基準マーカと、シードが生成する「信号ボイド(void)」と呼ばれる画像アーチファクトの存在とにより、複雑になる。階層の組織層により「骨点」に分類されたシード。これは図32の上の枠に見ることができ、それらの枠は、完全なスライス(左上の枠)およびクローズアップ(右上の枠)についての組織層の結果を示している。ROI中で単に筋組織を選択すると、図32の左下の枠に示される不正確なセグメンテーションとなる。従って、図32の右下の枠に示されるように、ROI中のすべてのシードが組織のセグメンテーションから選択される。そして、それらを膨張させて、図33の左上の枠に示されるように、信号ボイドが予想される領域を作成する。この特別な「ボイドROI」の中で、閾値処理が行われ、図33の右上の枠に示されるようなボイドを識別する。また、このボイドROI内で「空気」に分類された組織が、「ボイド」へと切り替えられる。臓器のROIの中にあるがボイドROIの外側にある空気は、選択され膨張させられ、図33の左下の枠に示されるように、直腸内の空気が考慮から除外されるようにする。最後に、図33の右下の枠に示されるように、前立腺の「フィールド」が、「筋肉+シード+ボイド−空気」により計算される。] 図32 図33
[0088] [00130]別の実施形態では、上記の臓器層の第4、5、および6のステップが、臓器の予想形状302を確立するために各画像エレメントについて計算された確率に基づいて画像エレメントに解剖学的メッシュ298(図31)をフィットさせる処理と、置き換えられる。解剖学的メッシュは、臓器の構造または他の解剖学的構造を表す仮想モデルである。解剖学的メッシュは、同一の患者または他の患者の以前のスキャン(1回または複数回)から情報を収集することにより構築される。メッシュは、通常、各画像エレメントについて記憶されたデータをメッシュ内に含まない。好ましい実施形態では、メッシュの頂点または制御点306を表すデータのみが格納される。これは、はるかに小さなデータ・セットであるが、それでも臓器の予想形状を簡潔に表す。図31に示されるように、制御点は、構造の格子状の表面を定義する。構造は、臓器の大きさに合わせて拡大縮小され、メッシュの頂点(制御点)は、それら頂点の1つの近くにある各画像エレメントに対して計算された確率に基づいて、画像エレメントにフィットされる。制御点は、制御点近傍の画像エレメントに基づいて制御点を調整することにより、セグメント化された画像にフィットするようにされる。メッシュは、臓器にフィットされると平滑さを維持し、臓器の境界を自動的に一致させる。最後に、組織層で適用される解剖アトラス、確率の計算に使用される規則、およびルール・ベースの論理分析と同様に、メッシュは、治療前、治療中、または治療後に得られる新しい患者データまたは患者固有データに基づいて変更されることができる。] 図31
[0089] [00131]セグメンテーションにフィットさせる最初のメッシュは、母集団を平均することで計算される「平均メッシュ」として生成されることができる。あるいは、メッシュは、臓器層の第4ステップの形状モデルから生成されることもできる。形状モデルは、各スライス上の幾何プリミティブからなる。例えば、膀胱、直腸、および陰茎球の場合、モデルは楕円であり得る。前立腺の場合は、下側4分の1が切り取られた大きい円と、半径が大きい円の半分であり幾らかの量だけ下げられて配置された横に並んだ2つの小さな円とからなり得る。下げられない場合、2つの小さな円は見えず(大きい円の中に含まれる)、また、完全に下げられると、半径の分だけ切り取り線の下に突き出る。精嚢の場合、最も尾側のセンチメートルについては形状モデルは横方向の楕円であり、次いで2つの楕円へと分かれ、2つの楕円は、傾斜し(内側の先端が上方へ移動)、相互から離れる方向、かつ下方に向けて移動することが許される。図34は、幾つかのスライスでこのモデルを例示する。形状モデルは楕円310として見え、臓器層の第1ステップで得たROI130も直腸270の上方に見える。弧は、前立腺の上部の2センチメートル上にある予想されるスライス範囲内における直腸のセグメンテーションに平均化された円をフィットさせることによって計算される。] 図34
[0090] [00132]臓器層の6ステップの機能を更に説明するために、例として直腸を考察する。ステップ1のためのROI130が図35に示される。ステップ2のための候補組織のフィールド(直腸の場合は空気と筋肉)が、図36の左上の枠に示される。前のスライスから伝播されるセグメンテーションに最も一致するオブジェクトが、図36の左下の枠に示される。形状モデル(直腸の場合は楕円)が図36の右上の枠に示される。精緻化された境界が図36の右下の枠に示される。臓器層の第4、5、6層の代わりに3Dメッシュが用いられる実施形態では、最初のメッシュについての幾何形状モデルを使用することの有用性が図37で説明され、上の枠は、幾つかのスライス上の形状モデルを緑色で示し、下の枠は、最終的なセグメンテーションを緑色で示している。調べてみると、このモデルは、3D表面の妥当な開始点であると思われる。] 図35 図36 図37
[0091] [00133]事例によっては、例えば前立腺の正確な境界は、MRIの方が明瞭であり、MRIをCTと融合することもできる。MRIがない場合でも、CTデータからの予想される前立腺のオーバー・セグメンテーション(over-segmentation)を表すモデルを使用して、素朴なセグメンテーションを補正することができる。この状況の別の例は脊髄である。脊髄は、現時点のセグメンテーション・システムでは脊椎管と混同される傾向にある。脊髄にはかなり弱い外郭線が存在する。セグメンテーション・モジュール126は、この外郭線を、楕円の断面を予想し、そして脊椎管内部でヒストグラム分析を行うことにより、検出する。]
[0092] [00134]頭部および頚部のリンパ節は、見えない構造の別の例である。こうした構造に関する目標は、リンパ節自体の輪郭を描くことではなく、リンパ節が存在すると予想されうる領域の輪郭を描くことである。その手法は、骨、筋肉、血管を問わず、対象とする脂肪の領域を取り囲むすべての構造を識別して輪郭を描くことである。コントラストを強化したスキャンでは、血管は、筋肉よりも明るく見えるが、骨よりは暗く見える。セグメンテーション・モジュール126は、それらの構造を、骨をその最も明るい領域から「成長」させるウォーターシェッド方式で骨を見つけることにより、骨から分離する。血管は、スライスからスライスへと連続性のある楕円形の断面により区別することもできる。特定の血管の識別は、頚動脈や頚静脈等のランドマークを確立する際に必要であり、これは、気管を基準とする下頚部の既知の原点から開始して、分岐するまで上方にたどっていくことにより、行われることができる。まとめると、この目標を達成するためにセグメンテーション・モジュール126により行われるステップは以下のものである。]
[0093] [00135]1)器官に対して或る位置にあるほぼ円形の断面として血管をセグメント化する。この血管の前処理により、筋組織を血管組織と混同することが防止できる。
[00136]2)ランドマークである筋肉オブジェクトを位置により判別する。
[00137]3)ランドマークである筋肉オブジェクトを使用して、領域がどれほど後方に及ぶべきか等の、ROIの制限を設定する。
[00138]4)境界が不明瞭な場合、或る筋肉と筋肉の間に小さな脂肪の空間を追加して、それら筋肉を分離する。
[00139]5)セグメンテーションを、血管と手動で挿入された空間との形の「必要な脂肪」に初期設定する。
[00140]6)平滑化された脂肪領域を、必要な脂肪に追加する。筋肉、骨、および血管から離れた脂肪の境界部分が滑らかにされる。なぜなら、急な強度の勾配によりマークされていないからである。]
[0094] [00141]見えない構造の別の例は、肉眼的腫瘍体積(gross tumor volume)(他にも肉眼的標的容量(GTV、gross target volume)等としても知られている)の「論理的拡大」を通じて見えないマージンを加えることにより、作成される。GTVは、典型的には、画像中に見られるターゲットROIの一部である。加えられるマージンは、臨床的標的体積(CTV、clinical target volume)または計画標的体積(PTV、planning target volume)の何れかを含む。CTVは、画像中に見ることができる関心領域(GTV)に、画像中に見えない微小な拡張を補償するために加えられる追加的マージンを足したものである。PTVは、CTVに、治療のセットアップおよび実施の変動要素ならびに患者の動きと他の不確定要素を補償するために加えられる幾らかの追加マージンを足したものである。拡張は、GTVセグメンテーションを全方向へ固定したミリメートル数だけ膨張させるなどのような「数学的拡張」ではない。代わりに、骨と軟骨とが、拡大する腫瘍に対する障壁として認識され、一方、脂肪は、拡大する腫瘍の経路として認識される。また、空気を扱うことは無意味なので、空気腔はCTVやPTVに含めるべきではない。即ち、空気であるものは腫瘍ではない。]
[0095] [00142]セグメンテーション・モジュール126によって行われるセグメンテーション階層の5番目の層は、系(system)層144である。系層144は、臓器を単独で検討したり又は単にランドマークとの関連で検討したりするのではなく、相互との関係で臓器を検討する。例えば、臓器層が完了した時点で、膀胱と前立腺とが一部のスライスで重なっている可能性がある。境界ボクセルの分類は、分類の変更が結果的な臓器形状に与える影響を比較考量することにより、再検討される。例えば、前立腺の事例によっては、膀胱壁が僅かであるがより明るいCT強度値を有するように見える(CT強度値はすべて、筋肉様の組織の予想範囲内に十分に収まっているが)。そのような明るい端部壁をサーチする速いサーチでこの特徴を見つけられない場合、アルゴリズムは、そのステップの残りを省略する。しかし、検出された場合、その壁をたどって、膀胱/前立腺との境界を移動する必要があるかどうかを判定する。解剖学的な正しさよりも放射線学的正しさが優先される。即ち、前立腺または膀胱に属する可能性が等しいボクセルは膀胱に分類して、この敏感な組織を有害な放射線から保護する。この処理の結果が図23に示され、図23は、直交するスライス面に示された前立腺事例に対する5層の階層の結果を示す。セグメンテーション処理で構築された3次元表現が図23の右上の枠に示される。] 図23
[0096] [00143]要約すると、セグメンテーション・モジュール126は、階層的な一連のセグメンテーション・ステップを、各画像エレメントを独立した統計事象として扱う画像エレメント層から実施する。ベイズ分類では、トレーニング・データから構築された空間的に変動する事前確率の形のアトラスを使用する。この分類は、セグメンテーションとモデル推定とを同時に反復して行う期待値最大化(Expectation-Maximization)フレームワーク内で適応性がある。次に、近傍層で、マルコフ確率場を使用して局所的なコンテクスト制約を導入する。次いで、組織層で、一連の論理規則を使用して誤りを訂正する。連結成分分析(connected component analysis)により、ピクセルを画像オブジェクトにグループ化する。オブジェクトの特性が計算されて、帰納的推論を支援する。次いで、臓器層で、組織を異なる臓器に分けるか、または、空気と筋肉とを組み合わせて直腸を形成するなどのように、異なる組織を共につないで1つの臓器を形成する。臓器の断面は、量的信頼度の尺度に従って順にセグメント化される。そして最後に、系層が、重複を調和するために、臓器に合わせられていた(フィットされていた)幾何学的プリミティブを操作する。]
[0097] [00144]本発明の各種の特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に述べられる。]
权利要求:

請求項1
患者の解剖学的構造を特定する方法であって、前記患者の画像を取得するステップであって、前記画像は画像エレメントの組を含むものである、ステップと、少なくとも一部の画像エレメントを、それら画像エレメントの内容に従って分類するように、前記画像をセグメント化するステップと、セグメント化された前記画像を、解剖学的アトラスと位置合わせするステップと、前記画像エレメントの分類が正しいものである確率を計算するステップと、前記画像エレメントの確率に基づいて画像エレメントを強調して、前記画像を再セグメント化するステップとを備える方法。
請求項2
請求項1に記載の方法であって、前記解剖学的アトラスは確率的アトラスである、方法。
請求項3
請求項1に記載の方法であって、前記患者に関連するデータに基づいて前記アトラスを変更するステップを更に含む、方法。
請求項4
請求項1に記載の方法であって、前記分類が正しいものである確率を計算する前記ステップは、ルール・ベースのロジックを使用して各画像エレメントが正しく分類されている確率を求めるステップを更に含む、方法。
請求項5
請求項4に記載の方法であって、前記患者に関連するデータに基づいて前記確率を変更するステップを更に含む、方法。
請求項6
請求項1に記載の方法であって、解剖学的構造を表す解剖学的メッシュを作成することを備え、前記解剖学的メッシュは表面を有するものであり、更に、前記解剖学的メッシュをセグメント化された前記画像に合わせることを備えるステップを更に含む、方法。
請求項7
請求項6に記載の方法であって、前記解剖学的メッシュは頂点を有し、前記解剖学的メッシュをセグメント化された前記画像に合わせることは、前記頂点の近くにある画像エレメントの確率に基づくものである、方法。
請求項8
請求項6に記載の方法であって、解剖学的構造を表す解剖学的メッシュを作成することを備え、前記解剖学的メッシュは表面を有するものであり、更に、前記解剖学的メッシュをセグメント化された前記画像に合わせることを備える前記ステップは、解剖学的構造を表す仮想の表面を作成するステップを備え、前記表面は制御点によって支配されるものであり、前記画像エレメントに基づいて前記制御点を調節することにより前記表面を前記セグメント化された画像に合わせるステップを備える、方法。
請求項9
請求項8に記載の方法であって、前記画像エレメントに基づいて前記制御点を調節することにより前記表面を前記セグメント化された画像に合わせる前記ステップは、前記画像エレメントの確率に基づく、方法。
請求項10
請求項1に記載の方法であって、前記セグメント化を手作業で編集するステップと、最初のセグメント化と前記手作業で編集されたセグメント化との間の差を計算するステップと、前記差を前記最初のセグメント化に取り込んで、改正されたセグメント化を作成するステップとを更に備える方法。
請求項11
請求項1に記載の方法であって、前記画像エレメントはボクセルを含む、方法。
請求項12
請求項1に記載の方法であって、ルール・ベースの分析を使用して、解剖学的構造の既知の位置に基づいて非解剖学的構造の位置を推論するステップを更に備える方法。
請求項13
放射線療法システムにおいて、患者の解剖学的構造を自動的に特定する方法であって、前記患者の画像を取得するステップと、前記画像中のランドマークを識別するように階層的な一連の画像処理ステップを使用して前記画像をセグメント化するステップと、前記ランドマークを使用して前記解剖学的構造を識別するステップとを備える方法。
請求項14
請求項13に記載の方法であって、前記ランドマークを使用して前記解剖学的構造を識別する前記ステップは、少なくとも1つのランドマークを使用して前記画像に形状モデルを合わせるステップを更に含む、方法。
請求項15
請求項14に記載の方法であって、前記形状モデルは楕円である、方法。
請求項16
請求項14に記載の方法であって、前記形状モデルは解剖学的メッシュである、方法。
請求項17
請求項13に記載の方法であって、前記ランドマークは、実質的に、筋肉または骨の構造全体を表す、方法。
請求項18
請求項13に記載の方法であって、前記画像は、一連の2次元画像スライスに分割される3次元画像データのセットを含む、方法。
請求項19
請求項18に記載の方法であって、それぞれの画像スライスは、画像エレメントの群を含み、階層的な一連の画像処理ステップを使用して前記画像をセグメント化する前記ステップは、それぞれの画像エレメントを分析して有望な組織クラスを判定し、それぞれの画像エレメントを隣接する画像エレメントと関連して分析して前記確率を確定または変更するステップを更に含む、方法。
請求項20
請求項19に記載の方法であって、階層的な一連の画像処理ステップを使用して前記画像をセグメント化する前記ステップは、画像エレメントを組織グループに分類するステップを更に含む、方法。
請求項21
請求項20に記載の方法であって、階層的な一連の画像処理ステップを使用して前記画像をセグメント化する前記ステップは、前記組織グループに基づいて、臓器、腺、筋肉、または節の領域を識別するステップを更に含む、方法。
請求項22
請求項21に記載の方法であって、階層的な一連の画像処理ステップを使用して前記画像をセグメント化する前記ステップは、前記臓器、腺、筋肉、または節の領域に基づいて系を識別し、前記系に応じて前記画像を精緻化するステップを更に含む、方法。
請求項23
請求項13に記載の方法であって、前記ランドマークを使用して前記解剖学的構造を識別する前記ステップは、ランドマークとなる構造間に線を引くことにより、解剖学的構造を含むことが分かっている関心領域を確立し、前記関心領域内で候補組織を認識し、前記関心領域の大まかな図案をセグメント化し、前記図案に形状モデルを合わせるようにし、前記形状モデルのパラメータを平滑化し、前記図案と前記形状モデルとを調和させて前記解剖学的構造の境界を判定するステップを更に含む、方法。
請求項24
請求項23に記載の方法であって、前記形状モデルは少なくとも1つの幾何学的プリミティブである、方法。
請求項25
患者の画像をセグメント化して、前記画像中の各画像エレメントの組織クラスを識別する方法であって、規則の組を使用してそれぞれの画像エレメントを分析して、それぞれの画像エレメントが所与の組織クラスである確率を求めるステップと、前記画像に解剖学的アトラスを位置合わせするステップと、前記アトラスに基づいてそれぞれの画像エレメントの組織の確率を精緻化するステップと、前記確率に基づいて前記画像エレメントにメッシュを合わせるステップであって、前記メッシュは、臓器の構造モデルを表し、臓器の予想それる形状を確立する、ステップとを備える方法。
請求項26
請求項25に記載の方法であって、前記解剖学的アトラスは確率的アトラスである、方法。
請求項27
請求項25に記載の方法であって、前記解剖学的アトラスは多量のスキャン画像から導出される、方法。
請求項28
請求項25に記載の方法であって、前記解剖学的アトラスは単一のテンプレート・スキャンを含む、方法。
請求項29
請求項25に記載の方法であって、前記画像エレメントはボクセルである、方法。
請求項30
請求項25に記載の方法であって、患者データに基づいて前記規則を変更するステップを更に含む、方法。
請求項31
請求項25に記載の方法であって、患者データに基づいて前記メッシュを変更するステップを更に含む、方法。
請求項32
請求項25に記載の方法であって、患者データに基づいて前記解剖学的アトラスを変更するステップを更に含む、方法。
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
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申请号 | 申请日 | 专利标题
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